UXを損ねる最悪なグロースハック

えー、最近グロースハッカーと呼ばれる人々が話題のようでして。
要するに、エンジニアとマーケターのハイブリットで、サービスをどんどん改善して数値を上げていく人のことらしいです。数値を改善する為に色々やるというのは昔からありましたが、それに名前がついて専門の人たちが出てきたということでしょうね。

この出自はUXデザイナーに似ていて、「UXデザイン」という言葉も元からあった「体験を買ってもらう」という概念に名前がついて出来たような感じだったと思います。また、やる事も「サービスの改善」と言う所で似通っている部分があるように思います。

僕は「グロースハッカー」と「UXデザイナー」は対になる職種だと思っていて、UXデザイナーはユーザーから見たプロダクトの品質を良くしようとする(売り上げや利益にも関知はするが、第一目標ではない)のに対して、グロースハックは数値を上げる事を目的にしていて、ユーザーが多少不利益を被ったとしても数値が上がれば構わないという部分がありそうです。

退会への摩擦を増やす


例えば以下の記事では、元Huluのグロースハッカーが退会に摩擦を設けることで、ユーザーの退会率を下げている様子が説明されています。

①やめる前にカスタマーサポート番号を提示する。
②有料Ver.を一旦止める機能を提供する。 
テレビにはシーズンがあるので、12週間課金を止める。12週間後は自動で課金。
チェックボックスを入れ、解約ボタンを押すと、ポップアップで「1ヶ月無料にするけど、本当にやめちゃうの!?」と聞く。元Huluのグロースハッカーが語る “真のグロース” とHuluで行ったグロースの軌跡 | VASILY GROWTH HACK BLOG

余談ですが、僕が以前hi-ho WiMAXを退会しようとしたとき、画面をたらい回しにされたあげく書面郵送での退会しか出来ないと言われた時には衝撃をうけました。入会はWebだけで出来るのに、、、。

レビューを促すモーダルダイアログ


もう一つの事例として、Rate this appなモーダルダイアログの問題があります。これは「一定回数以上アプリを起動しているユーザーは、アプリへの評価が高い」と踏んで、アプリへのレビューを誘導するやつです。皆さんも見た事あるかと思います。これはアプリの評価が高いほど、そのアプリのDL率が上がるためです。つまり、アプリを使い込んでいるユーザー(お得意様)であるほど、このモーダルダイアログがしつこく表示されるということです。ユーザーにとっては鬱陶しいことこの上ないので、議論が巻き起こっているようです。

これはまさに純然たるスパムだ。これはポップアップ広告のように押し付けがましく、ユーザーへの敬意がまったく欠けており、かつアプリの開発者を貪欲で自暴自棄な存在に見せるのだ。
モーダルダイアログにはアップルも打つ手がない | maclalala2

広告なのかそうじゃないのか分かりづらい


これはグノシーのスクリーンショットです。一応Sponsoredと表示されていますが、全く気づかずに踏んでしまったことが何度もあります。恐らくわざと分かりにくいデザインにしているのでしょう。他にも、ボタンと広告を間違えて押す事を狙っている物がよくありますね。無料のゲームアプリに多いです。

グロースハックではUXを向上させる事はできない

また、グロースハックは「優れたプロダクトを作る」という行程では行うべきではないとされているそうです。
サービス初期は”グロースハック”をするな!あなたの目を覚ます8つのアドバイス | VASILY GROWTH HACK BLOG

つまりUXデザイナーが作ったプロダクトを、グロースハッカーがグロースさせていくというイメージでしょうか。もちろん、勝手に退会画面を複雑にされてしまったらデザイナーはショックでしょうが。

まとめ

なぜこんなことが起きるのかというと、結局の所、多少ユーザーが不便でも、急激なグロースという魅力に打ち勝つことができないということです。できることならUXデザイナーとグロースハッカーが対立せずに、両者がお互いの弱点を補強し合うことで、ユーザーが満足し数値も上がり、ウィンウィンの関係を築けるのではないでしょうか。またユーザーの立場からすれば、こんな事をしているアプリやサービスはなるべく利用しない事です。効果が薄ければスパムまがいのことをする必要はありませんからね。

僕自身はUXデザイナーではありませんし、グロースハッカーの方と仕事をした経験もないので、詳しい方に両者の関係についてコメント頂けると嬉しいです。

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